ルールマラン(Lourmarin)のご紹介

Bonjour 皆さん!

買い付けが一段落しましたので、昨日ようやく初めてのお休みをとることができました。
身体を休めるためにはコンドミニアムでのんびり過ごすのがベストなのですが、貴重なフランス滞在では一日たりとも無駄にすることはできません。美しいプロヴァンスを堪能すべく、大好きなリュベロン地方に行ってきました。

リュベロン地方はプロヴァンス内陸部にあり、東西に横たわる三つの山脈で構成される山塊(←聞きなれない言葉で申し訳ありません)上の地域です。このエリアはリュベロン地方自然公園に指定されており、数多くの美しい鷹の巣村が点在しています。プロヴァンスの観光地として名高いゴルド(Gordes)やルシヨン(Roussillon)はリュベロン地方の村です。また、その美しく多様性に富んだ自然環境により、ユネスコから世界ジオパークと生物圏保存地域に認定されています。

昨日はルールマラン(Lourmarin)とメネルブ(Ménerbes)を訪れました。これまで数多くのリュベロンの村を訪れましたが、この二つの村はいずれも私の「リュベロンの好きな村TOP5」に入ります。今回の投稿では、リュベロン訪問記第1弾としてルールマランを取り上げます。

前置きが長くなりましたので、まずは村の写真を一枚。

リュベロン地方の町ルールマラン(Lourmarin)

ルールマランはプロヴァンスの大都市エクス・アン・プロヴァンス(Aix-en-Provence)から比較的近いこともあり、年間を通して多くの人々が訪れます。アルベール・カミュは晩年この村に居を構え、この村で亡くなりました。

他のリュベロンの村同様、鉄道は通っていませんので、訪れる際は車かバスを利用してください。レンタカー等を自分で運転して行く場合は、エクス・アン・プロヴァンスなど南側からアプローチすることをお勧めします。アヴィニョンやリル・シュル・ラ・ソルグなどから出発する場合でも、デュランス側沿いのD973県道で東に移動し、ロリ(Lauris)やカドネ(Cadenet)を経由して北上する方が圧倒的に運転しやすいです。(ゴルドやルシヨンその他北リュベロ方面も訪れる場合は、その限りではありません。)

観光地としてのルールマランは、可愛らしい街並み、おしゃれな雑貨店やカフェ・レストラン、毎週開催される大規模なマルシェにスポットが当たることが多いです。このあたりの情報は他の方のブログや観光案内サイトなどでも多く取り上げられていますので、今回はアンティーク屋ならではの別な視点でご紹介します。

ルールマラン城

絵葉書などでご覧になった方も多いかと思いますが、村はずれに大きなお城があります。”Château de Lourmarin”、ルールマラン城です。12世紀に要塞として建てられ、その後15世紀に要塞の一部を残しながらお城として再建・拡張されました。

フランス革命後は持ち主が頻繁に変わり、最終的に廃墟になってしまいました。1920年、壊して石を採取する目的で競売にかけられそうになりましたが、とある富豪(の息子)が城を買い取り、解体を免れたのです。その後お城はレストアされ、現在ではフランス政府により、”monuments historiques”(フランス歴史的記念物)に指定されています。

この味わい深い城壁には、900年もの長い歴史が刻み込まれているのです。

ルールマラン城の城壁

いつも可愛らしいロバたちがお城の前で草を食んでいます。目が大きく、なんとも優しそうなお顔!

ルールマラン城前のロバ

ルールマランは20分もあれば一周できるほどの小さな村です。都会から移住してきたアーチストの方々が数多く居住しており、アトリエがたくさんあります。また、少数ですが日本人の方も住まれています。

今どきなオサレ系ショップも多くみかけますが、この村の一番の魅力はやはり歴史ある古い建物と街並みではないでしょうか。アンティーク屋としては、古いドアやヴォレ(雨戸)などの建具にも自然と目が惹きつけられます。

古い建物オリジナルの建具類は、その様式や歴史を知る上で大変参考になる生きた資料なのです。

もう一つ、村の中にある興味深いアイテムをご紹介します。

散策していて偶然見つけた、背中に翼がある女性の像です。じっと上をみつめるような表情がとても印象的で、何かいわくありげに見えました。この像は、これもまた何か特別な背景のありそうな、庁舎のように立派な建物前に設置されています。

気になって調べてみたところ、女性の像はヴィクトーリアという、古代ローマ神話に登場する勝利の女神でした。二つの世界大戦で亡くなった、この村出身の51人の方々を偲んで作られた戦没者記念碑です。

ちなみに日本スタイルでラテン語の”ヴィクトーリア”としましたが、フランス語では”ヴィクトワール”(victoire)です。

プロヴァンスの町ルールマランのヴィクトーリア像

また、像の後ろの建物は、麻の紡績機(繊維から糸を作る機械)を発明したPhilippe de Girardを後に輩出したGirard家が17世紀に建てた由緒あるものだそうです。紡績機の発明に関しては、ナポレオン1世がからんでいたり、いろいろと興味深い逸話もあるのですが、本題から離れてしまいますのでここでは割愛します。

ルールマランに限らず、リュベロンに点在する古い町や村には長い歴史がありますので、気になったものを調べてみるのも楽しいかもしれません。

秋も深まりつつあり、古い建物にからまるツタもかなり色づいていました。

紅葉したツタの絡まるルールマランの建物

ツタが紅葉する一方、村はずれではピンク色の木の花が咲いていました。この時期に?そもそも何の木?

調べてみましたが、どうしてもその正体にたどりつけません。ご存知の方がいらっしゃったらぜひ教えてください。

ルールマランの町はずれの木で咲いていたピンク色の花

ルールマランにはおしゃれなカフェやビストロがたくさんありますが、当家の好みはクラシックなインテリアが安らぎ与えるCafé De La fontaine。客を迎えるマダムのサービスも心地よく、村までのドライブや散策で疲れた身体を休めるには最適の場所です。

実はまだカフェとしてしか利用したことがないのですが、料理の評判もかなり良いようですので、いつか料理もトライしてみようと思います。

ルールマランのカフェ、Café De La fontaine

ちょっと渋めのルールマラン紹介、いかがでしたでしょうか。
渡仏のたびに必ず訪れる村ですので、またいずれ別な側面でご紹介させていただきます。

それではまた!

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